歳在庚寅 長月抄  服 部 清 人


中津川馬籠宿にて十句
朽ちてなほ寄り添うて秋道祖神

馬籠宿そばの暖簾と彼岸花

萩の枝や藤村の指細からむ

赤蜻蛉にけふのおともをさせませう

美しき村にもひそと秋は来ぬ

すりガラスの空き瓶に似て秋の空

便箋に書き残しあり九月尽

文豪の系図に紙魚や柿実る

碑の前に落ちたる柿の実に深傷

藤村の薄墨の文字鰯雲

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