歳在辛卯 葉月抄  服 部 清 人

ランの館で九句
いにしへは富士も見えしと蘭の里

蘭みる午後揺れているのは己のみ

落蝉やおぬし役目を果たせしや

煩悩を引き摺り雨の欄の時

秋蘭や表も裏もなくひそと

睡蓮や斜め四十五度の景

洋蘭の中には水を求めぬも

深く根を張って生きたし秋めきぬ

蘭の香や生かされてをり夢みつつ

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