ニューノーマルの時代
                  ドクターX的こころ
                                                    ななえせいじ

 コロナ感染者数がようやく下火になってきました。依然自粛生活は続きますがワクチン接種もそのうち軌道に乗るでしょうから、もう少しの辛抱です。問題はコロナの後であります。
 年度初めの4月を迎えれば、就職、進学、転勤などなど人の移動が激しくなります。コロナもこれさいわいと活動の機会を狙っているかもしれませんよ。特に新入社員はコロナ禍に初出勤を迎えます。どの企業も転勤や異動で職場環境が変わります。職場の雰囲気が変わるこの時期は働く人たちにとって心が揺れる時期であります。その上に自粛生活ですからね。ストレスがたまらないわけがありません。
 かくいう私も世間並みに自粛生活を体験いたしました。そこで参考になればと思い暇つぶしに観たテレビ映画の中からドクターXを推薦します。西田敏行や遠藤憲一等わき役の演技がいい。小気味よい作品に仕上がっている。
 外科医大門未知子は、群れを嫌い、どこにも属さない一匹オオカミを旨とする外科医であります。スキルは高く「わたくし失敗しませんので」という同僚医者を逆なでするような名セリフがうけている。したがって医者の免許を必要としない仕事は「一切いたしません」と割り切っている。普通の人は口にできないこの台詞に共鳴するのでしょう。この強気な言葉は、たくさんの手術で得たスキルが支えになっている。外科医大門未知子の痛快さと気風の良さが人気の的。折しもコロナで沈みがちな世の中とあってスカッとする小気味よさが魅力である。
 しかし未知子役の米倉涼子の本音は、女優としてこうした役柄に固定化されるであろうことに少しばかり不安を抱いているようだ。視聴率が高いうちに他の役柄にも挑戦して芸域を広げたいとしたらファンとして理解できます。実際最新作シリーズで観た米倉さんのイメージは齢とったな(失礼)という感じでありました。引き際を決断するとしたら今でしょうとなる。この種の交渉事は所属事務所との兼ね合いなど複雑でしょうから迷うでしょうね。
 ところで、ドクターX的こころ、とは?
 これから社会に巣立とうという人は参考にしてもらいたいからです。特にコロナがもたらした就職氷河期をクリアして社会人となったばかりの人は、企業という組織に属したことで戸惑うことばかりで面食らうでありましょう。まず控えめを心掛け、場合に合わせて我慢し、時に遠慮し、いやなことも厭わず、使い走りも、汚れ仕事も、力仕事も無難にこなさなければならない。こうしたプレッシャーは何度となくやってきます。研修とかによって社畜化され飼いならされていくことに耐えられるかどうかが最初のハードルです。そこで心が折れるようであったら社会人失格であります。それは企業の採用試験よりも難しいものです。何のスキルもないあなた「いたしません」を言い放てるかどうか。それが通るならこんな楽な社会はありません。
 「男子一歩家を出ずれば7人の敵あり」と言います。実際は7人ばかりじゃありませんよ。上司、同僚は言うに及ばず、ノルマというプレッシャーがあります。実績などの能力評価は数字となって四六時中のしかかってきます。このコロナ恐慌の時代、気の弱い人は耐えられず自死するケースも増えております。一度は言ってみたいですよね。「いたしません」「失敗しませんので」と。であるからこの言葉を言い放つドラマドクターXに共鳴する人多いのです。
 サラリーマンにはドクターXほどのスキルはいりません。普通でいいのです。そして実力が伴わないと思ったら見栄を張らず早めに転身を図ることです。継続は力なりと言いますでしょう。どんなつまらない仕事であっても続けられるかどうかをまず推し量るべきです。やれそうだと思ったら延々と続けることです。そのうち当てにされるようになります。それが信用というものです。そしてスキルとなって積みあがります。まさしく継続は力なり。信用は積むものであって売り込むものではありません。そうとわかったら、その道の達人になれると信じ継続を貫くことです。大企業の歯車よりもマイナーな分野でいいから続けていくうちに専門家になれるのです。ドクターX的こころとはこういうことを意味しているのであります。勝手な意見でした。失礼します。
                         
               2021年3月1日
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