年寄りのたわごと
                 あんたにいわれたくない―(12)
                                                    ななえせいじ
 しばらくお休みしていた年寄りの集まりで私は専ら聞き役に回りました。
 話の内容はコロナに関わることばかり。ワクチン接種が予約制と言うのは理解できても、電話が通じない、予約が取れないといった混乱からトラブルになっているらしい。中でも有力企業の社長が優先接種が受けられるよう市に圧力をかけたという事件は社会問題化し予約は取り消しになった。副市長は騒ぎの責任を感じ進退伺を出すに至ったとか。コロナ禍の現下の社会情勢は特に為政者に厳しい。地位利用はもとより抜け駆けとか不当利得の類に対し国民は敏感に反応する。こんなことは普段でも頻繁に起こっているに違いない。そこそこ幸せな国民は見て見ぬふりをしてきたのが通常であった。全世界的なコロナ禍の今は国民自身が追い詰められているから鷹揚に構えていられないのである。
 今行政の信頼が揺らいでおります。これからの施政は選挙で多数を取ることじゃなくて国民に何を与え、代わりに何の義務を負ってもらうかなのだと思います。国政選挙でしっかり意思表していきましょう。さもなければこの年寄り死ぬまで愚痴り続けることでしょう。

 コロナワクチン開発競争は激化しております。この状況を「こう見る」と言うコラムを中日新聞で読みました。それによると、三重大学の研究者が県内のベンチャー企業と組んでワクチン開発に取り組みすでに基礎実験まで終わっているのだそうです。その接種方法が極めて特徴的で注射でなくして鼻の中にワクチンを吹き付けるというもの。マウスによる治験では十分効果が得られたという。実用化までに人による治験が欠かせないので、そのための費用が億単位になるため、国に援助を求めたが不採用になったという話。(国の不作為による財政負担を国民はいずれ覚悟しなければなりますまい。)
 国も国産ワクチン開発にようやく重い腰を上げようとしているようです。ちびった予算では十分な治験もできないのですから予算だけでも他国に恥じないだけの分をつけましょうよ。

 オリンピック中止を求める世論が日増しに増えております。オリンピックは世界的なイベントだけに日本だけで決められない事情は分かる。が人間の生命にかかわる問題だけにイエスかノーか迷っている場合じゃないのでは。アメリカの有力紙でさえ開催に悲観的な論調だそうです。商売が絡んでいるだけに決断は難しいのは分かるが、ここはIOCもアスリートも関係なく公平な立場で損得勘定なく世論を鑑みて決めたらいいのではないかと思います。とまあ、この年寄りは思います。(あんたに言われたくないでしたね)
                         
               2021年5月18日
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