年寄りのたわごと
                 あんたにいわれたくない―(14)
                         全方位に及ぶ断捨離
                                                    ななえせいじ
 このコロナ不況下、断捨離は労働者をも対象にしてきました。かつての戦力であった労働者を「不要不急」と決めつけていいものだろうか?コロナ解雇者はすでに十万人超え。これ豊かさの代償?おかしくない。
 物を持つ集める文化から買わない持たない文化に変容しつつあるのは確かです。何々離れがその象徴。こうして「格差」「仕分け」の分別が生まれてきました。正規と非正規。これはサラリーマンにとっては屈辱でしかありません。
 企業に{法人}という人格を与えながらその法人が従業員に戦力外通告、指名解雇などというのはあってはならないことだ。この世は矛盾だらけ。その結果は貧困層を沢山生みました。コロナは明日をも知れない不安定な社会を醸し出しました。まるでコロナは人間選別の選果機であります。学歴や経験を度外視した全方位的コスト削減の選果機。
 日本の産業界は大雑把に大企業と中小企業に分かれます。最近耳にした話では税法上の特典から意図的に資本金を減資、中小企業に鞍替えした大企業がありました。これもまたコロナ禍の影響ではなかろうか。
 産業界にはいろいろな棲み分けがあります。零細企業、協力企業、下請企業。上から目線の大企業は取引先を出入り業者と呼びます。
 資本形態ではHD(ホールディング)という名の持ち株会社を総帥に置きグループを束ねます。親会社と子会社、系列企業と傘下企業。これによって縦の関係ばかりか横のつながりによってグループを結束します。
 他には基幹産業、リーディングカンパニーという呼称もあります。総合商社、金融、鉄道、電気瓦斯、建設、自動車、百貨店などなど。これら大型企業はGDPの貢献度は高く高邁な自尊心をもって産業界をリードします。
 ここにきてコロナはこういう企業文化に一石を投じました。身近に迫ったデジタル社会。世界中の事業形態が革命的に変革しつつあるのです。
 例えばDX(デジタルトランスフォーメーション)。
 これまでは規模の促進力と信用で傍若弱無人に踏み込んできたのが大企業でありましたがこれからは戦略と時代のよみと工夫がなければ容易にことは成就しないでしょう。まさしくコロナは21世紀の産業革命なのであります。そのカギがDX。
 上場企業の3月決算が間もなく明らかになります。すでに先行して決算見通しが公表されつつありますが明らかにコロナで明暗が分かれております。勝ち組も負け組もなくこれからはAIなどを駆使し、経験したことのない戦略を工夫しなければならないでしょう。
 例えば日経によりますと総合商社の三菱商事はDX投資に1,000億円を投資するというのです。社会の変容を先取りして投資をする。急いてはことを仕損じるといいますがここでは先を制する者はすべてを制するとの強い経営方針の下での決断によるようです。(つづく)
                         
               2021年5月30日
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