諷意茶譚
掛け軸は茶席の何なのか 美術か装飾か
茶席第一の道具とは山上宗二の言葉―1
ななえせいじ
裏千家主催の夏期講演会はコロナのために一年延期になっていたが去る7月24日ようやく開催された。講師は「なんでも鑑定団」でおなじみの愛知東邦大学教授増田孝先生。この日の講和の題材となったのは沢庵宗彭の柳生宗矩に宛てた書状である。
その内容というのはあらまし次のようでありました。
書状の原文は次の通り
尚、明日参候て可申候 昨日は閑談、本望候
茶つぼ 被持候。此方之つぼにも
沢山に茶御入候。さ様に多御入
不申候へ共、持給候間返し候へく候。満心申候と可被思存候間、
とりかへ、此方之つぼを返候。
只今給候をとめをき申候。
脚いたみ申候とも、明日は参候て
可申候。のり物かことも御中間衆
此方に数多居被申候間、のり
候て可能出候、御気遣被成間敷候。
かしく
(封) 宗矩公 研右 宗彭
研は硯と同義だそうです
大意は次のようであります
茶壷をお届けいただきました。私の方の茶壷にも沢山お茶を入れていただきました。こんな に沢山いただかなくても間に合いますのでお返しいたします。生意気と思われては心外です ので、こちらの茶壷をお返しし、只今頂戴いたしました茶壷はこちらにいただきます。
脚が痛みますが、明日は参上してお礼申し上げます。乗り物の駕篭など、
こちらに多くの中間衆がおりますので、乗ってまいりますからどうぞお気遣い無く。かしく。
追伸 明日は参上してお礼申し上げます。昨日の閑談、楽しゅうございました。
2021年9月1日
つづく
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