年寄りのたわごと
                   あんたにいわれたくない(5)
                                                   ななえせいじ

 コロナは一向に収まりそうもないね。インフルエンザと重なってますます激化していく気配さえあるよ。とにかく今は、コロナ退治か経済優先かそれが問題だというわけ。二兎追う者は一兎も得ず、さあどうするか迷っている場合じゃないと思うよ。打つ手あるの? おしえて!
 年寄りのたわごとでよかったら。そうだな、まず政局を落ち着かせることだと思うよ。会期が短いのに、明けても暮れても学術会議のことばかり。もちろん大問題ではあるけれど、ここは譲って(どちらがとはいわないが)、本来の議会の在り方に戻ってもらいたいよね。分かりやすく、道に迷ったら元に引き返せっていうじゃないか。自分自身の命も助かるし人に迷惑を掛けなくて済むってこと。これ登山家の初歩のマナーにあるらしいよ。
 これまでの話と視点を変えて考えてみようよ。このところたて続きに交通事故で現場を逃げた人がいたよね。芸能人が起こした事故は目撃者に現場に戻るよう諭されて戻ったところで逮捕された。逃げるが勝ちと思ってか現場を離れたこの時の加害者の心は鬼心、諭され戻るときはいくらか仏心になっていたであろう。人間には常にこうした二心が同居しているものである。
 学術会議のことは分からないが、改革したいのならここは一旦元に戻しそれからでも遅くないって思うよ。すいません、要らんお節介でした。

 さて話変わって、日本の景気はどうなるの?たわごとでいいから聞かせてよ。
 そうだね、まずはマイナーな産業をいかに活性化するかということだろうね。日本経済は重厚長大に特化した筋肉質だったが、これからは違った筋肉を鍛えることだと思うよ。わかりにくい? 京大の先生が言っていたけど、例えば林業とかね。さすれば海も潤い沿岸の海産も潤う。今まで大企業の儲けが下請け企業にまで滴り落ちて従業員もハッピー、という考えだった。これからは造る産業から農水産のように育てる産業だと思うよ。稼ぐから育てる産業。公害なく、きれいな空気、きれいな水が滴り落ちて自然に還る循環産業。賢い人はこれに気づきつつあるようだから日本も捨てたものじゃない。だがはみだし者もいる。簡単に悪の誘いに乗ってしまう浅はかな人たち。これでは林業のようなきつい仕事は嫌うだろうな。なまくらな肉体、壊れやすいハート、生活破綻者とか中でも女性の自殺が増えているのはなぜ。政治はこういう数字を増やしちゃいけないよね。場当たり政策では救えない命だよね。カネで釣るような罪作りな政策は、正義は何かをよく考え一旦踏みとどまってから施行すべきだと思うよ。

 最近よく「ニューノーマル」という言葉を耳にするよね。新しい日常。ウイズコロナと合わせて考えてみよう。なんといっても現実の社会は激しく格差を生んでいるよね。その結果、傲慢な人、不遜な人、自己本位な人、傍若無人な人、目に余る振る舞いが目立つよね。自由と権利を履き違えているとしか思えない。最近耳にした高級公務員という言葉。格差で仕分けたがために威張り散らす高級公務員が出現した。なんでそんなに威張るのか、横柄な態度になってしまうのか、同じ日本国民なのに。大企業の高級管理職にも横柄な人が結構いると聞きますよ。みのるほどに垂れる頭かなは今はいずこ。信頼される高級小市民でいいじゃないか、と思うけどね。
 人間に高級も低級もないが、国民に対して嘘がつけない人間こそが真の高級国民と思うよ。いつの間にかこの世は嘘をつく人間ばかりが目立つようになった。これがコロナ後のニューノーマルの社会?
正直者が莫迦をみる世の中にだけはしてほしくないよね。 
                        
                 2020年11月10日
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