老人の主張17
                 お茶会に行きませんか

                            
        ななえせいじ
 
                                         
 早くも2月が終わってしまいました。ついこのあいだ初釜が終わったばかりと思っていたらすぐ節分です。その節分では笠寺観音古材の茶杓(銘無事)を使いました。そして3月、桃の節句です。コロナから2年の時を経てお雛さんの掛け軸を掛けました。就活で忙しい孫娘は不在でした。
 さてコロナ不況下の日本経済。ここをどう乗り切ろうとしたか茶道界の現状を年寄りなりに観察してみました。見当違いがあればお許しください。
 たかが茶道と言えども経済の内、されど骨太部分ではありません。景気の動向をもろに受けております。やはり循環経済の一端を担っているのであります。
 裏千家では恒例の初茶会を2年ぶり1月に開催されました。会場はいつものところ。コロナの自粛が続いておりましたから人数制限の縛りがありましたが結構な人数が集まりました。「同門は兄弟」といいます。和気あいあいの雰囲気も変わりません。でもあの人もこの人も顔を見ませんでした。新しい年のめでたい茶席でありますから財界や茶の湯の幹部らが参加します。でありましても茶席は一座建立で成り立つもの入ってしまえばどなたも主人公であります。
 茶道と景気。切っても切り離せない関係にあります。世の趨勢を多分に受けております。その遠因は少子化と高齢化社会という社会構造にあります。この構造が変わらないかぎりかつての盛況は取り戻せないでしょう。「どうする家元」というところであります。年寄りの出る幕じゃありませんが、ここは思い切ったイノベーションが必要でしょう。コロナ不況で大衆相手の業界は特に独自の改革が必要です。茶券の売り捌きと似たようなものでありますが大切なのは雰囲気作りでしょう。

 これからの茶の湯教室で大切なのは茶の湯入門者を増やすことだと誰もが思います。そのためには教室の在り方を変えるのも一つ。この世に女性と同じ数だけ男性もおりますが教室に通う男性は極端に少ない。ここを解消するには小さいころから茶の湯に馴染ませる方策が必要。遠い道のりですが茶の湯500年の歴史から見れば短い時間です。つまるところ創意と工夫しかありません。
 参考にしていい歌を次に掲げます。
 山川の末に流るる栃殻も実を捨ててこそ浮かぶ瀬もあり 空也上人

                 
 2023年3月5日
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