老人の主張27
                コスパこそが生活の知恵

                            
        ななえせいじ
 
                                         
 令和のサラリーマンは転勤命令を拒否するそうだ。愛する家族のために現状の環境を変えたくないとした今風価値観の表れだという。出世したい気持はあってもいまさら単身赴任もないというわけである。
 サラリーマンにはこういったコスパ感覚が基本にあるみたい。いわゆる転勤は現状の生活環境からして見合わないというわけである。もはや勤務先の転勤指令は絶対でなくなった。経済が拡大基調にあった時代のつい最近までは転勤は出世の条件であった。ところが経済成長は鈍化、少子高齢化、人口減少と相まって経営環境は著しく厳しくなった。加えてウイルス禍で職場の労働環境が悪化、人手不足などなど企業を取り巻く環境は大きく変化した。特に人手不足は頭数はともかく役に立つ人材の確保が重要視されるようになった。
 そこで登場してきたのがCHATGPTという怪物である。この怪物があらゆる職場にも適応できるとなれば年功序列の旧来型サラリーマンは不要となってくる。問題は資格を売りにしたかつてのエリート社員は役に立たない邪魔な存在になりつつあることだ。英検一級、簿記一級といったような資格は無ではないがあまり意味をなさなくなった。当面ロボットで間に合うとなれば企業は人への投資を控えるだろう。加えて人生百年時代。寿命が延び廃棄物となっていくかつての戦力であったサラリーマンたち。社会のお荷物とみられ生きづらくなった。
 どうしたらいいのでしょう。そこで提案、いったん自分の価値観をゼロにリセットしてみたらいかが。ロボットと無縁の分野で人間臭く生きてみる。え?プライドが許さない?プライドで飯が喰えますか?
 そのチャットGPT、今は新鮮性と利便性の両面から世界中から注目されております。だがここにきてデメリットも出てきました。早くも改良の手が加えられつつあります。アクセス数が急速に鈍化しているらしい。ここにきて想定外の問題点に苦慮している。利用者が偽情報を本物と認識してしまう危険が顕在化し放置できない段階にきているらしい。そこで米連邦取引委員会(FTC)が実態調査に乗り出したというのである。つまり偽情報を遮断してしまうセキュリテイーの構築である。
 SNSやYouTubeはどうか。身近な発信ツールではある。がそれだけにトラブルは絶えない。もはや放置できない段階にあると聞く。いわば「悪貨は良貨を駆逐する」であり、狼少年の逸話のように真実であっても信用されない。
 SNS上で誹謗中傷され自殺に追い込まれた女子プロレスラーの話は今風社会の現れであります。当事者の母親は「人が物のように消費される番組つくりは許されない」と報道局を訴えました。裁判の成り行きが注目されますが、マスコミとか大企業といった社会的影響の強い事業体は公共の福祉という視点から番組つくりやモノづくりに取り組んでいただきたい。
 コロナ後、いろいろなものが減速して行くこれから後の社会は否が応でも修正されていくでしょう。真の修正資本主義のはじまりであります。
                  2023年7月24日
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